「リラクセーション」その定義を理解していますか?
皆さまこんにちは、ヨガインストラクターのよがくらげ雅子です。
「ヨガをするとリラックスできる」これは一般的にも浸透していることですし、
「リラックスして、呼吸しましょう」などのように、レッスン中のガイドでも「リラックス」と言うフレーズはよく使われています。
リラックス、といえば、力が抜けていて落ち着いた状態、と言うようなニュアンスですが、インストラクターであればその言葉についてはもう少し理解を深めておくといいかもしれません!
■そもそもリラクセーションとは…
「リラックス」「リラクセーション」この言葉の本来の定義はなんなのでしょうか?
「リラクセーション」と言う言葉は、1908年にW・B・Cannonのもとで神経生理学の研究をしていたEdmund Jacobsonによって臨床的な意味づけがなされ、それが世界的に広く認知されるに至りました。
Edmund Jacobsonは、「リラクセーション」をレクレーションや趣味の語義とは明確に区別し、「神経、筋に衝撃が起こっていない状態であり、緊張をコントロールして全身を弛緩できる状態にすること」と定義しています。
一方、アメリカの内科医であるHerbert Bensonらは、リラクセーション法によるリラクセーションの中に弛緩反応が起こることを発見し、ストレスに晒された際に「人工的誘導によって生体が身体的に安らぐ状態」をリラクセーション反応と位置付けました。
不安や怒りなどの情動は、交感神経を興奮させ心拍数や血圧値を増加させるが、シラクセーションはそれとは反対に副交感神経の働きを増加させることによって自律神経系の活動を調節し、ホメオスタシスを維持するように作用します。
つまり、リラクセーションとは自らの力を使って生体機能調節系に働きかけ、心身の緊張を取り除き、自らの状態を整えることを意味するのです。
■「リラックスして」だけでは導けない深いリラクセーション
以上のことから分かるのは、何もしていな状態からいきなり「リラックスしてください」と言われても人はリラックスできないと言うことです。
恒常性を維持しようとするホメオスタシスを発動させるには、リラクセーション、つまり副交感神経へスイッチする前に交感神経も働かせる必要があります。
例えば図は基本的なリラクセーションのシークエンスですが、このシークエンスだけをやればリラクセーションへ導けるわけではありません。
シークエンスによって心拍を上げる→下げると言う工程を踏んで初めて、深いリラクセーションへと導くことができるんです。
■シークエンスの大きな目的は、シャバーサナの質を上げること
シークエンスの目的はいろいろあります。柔軟性を高めること、筋力を引き出すこと、機能的な体に整えることなど。
もちろんそれらはとても重要で誰もが叶えたい目的ですよね。ですが、それだけであれば、ヨガは選択肢の一つではありますが、ヨガでなければいけないことはありません。
せっかくヨガに取り組むのであれば、最後のシャバーサナで他では味わえないような深いリラクセーションへ心身を導くことが大切です。
そのためには、アクティベーションに向けて心拍を高め、リラクセーションに向けて心拍を下げていく、と言う基本的な大きな流れを意識する必要があるでしょう。
コンディショニングで体をウォーミングアップさせ、呼吸に意識を向け徐々に深めていくことも、運動量の多いアクティベーションで様々なアーサナをつないでいくことも、全ては理想的なシャバーサナにつながっていくのです。
どうアーサナを配置することで、シャバーサナに向けて理想的な心拍数のカープを描いていけるかが、心と体のリラクゼーションを叶えるレッスンの鍵となります。
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芸術大学卒業後、デザインの仕事に就くが、消費サイクルの短いデザイン業に疑問を感じ、30年以上のヨガ愛好者である母の影響で続けていたヨガに更に本気で向おうと決意、ヨガインストラクターに転職する。現在は3人の子育てをしながら幅広い年齢層に多様なヨガを指導。