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【相反性神経支配】 拮抗筋、意識できてますか?

皆さまこんにちは、ヨガインストラクターのよがくらげ雅子です。

ヨガのレッスンを受講する人が「気持ちよかった」「スッキリしたなあ」と思えるようなクラスを提供するために、インストラクターが知っておくべきことはどんなことがあるでしょうか?

アーサナの正しい取り方や誘導方法はもちろんのこと、呼吸生理学や解剖学、ヨガ哲学に至るまで、一言にヨガと言っても、質の高いレッスンを提供するためにはたくさんの知識やスキルが必要です。

今回はその中でも特に重要度の高い、フィジカルからメンタルに働きかける筋肉の仕組みについて探ってみましょう。

■【相反性神経支配】とは?

相反性神経支配、あるいは相反性抑制について、インストラクターであれば理解を深めておく必要があるでしょう。

一つの動きをするときに働く筋肉は、決して一つではありません。

その方向に体を動かす主な筋肉=主導筋と、ペアになって働く拮抗筋があります。たとえば肘を曲げる動きを行う場合、主働筋である上腕二頭筋が収縮し、二の腕側の上腕三頭筋が弛緩します。

このように、主働筋が収縮する際に拮抗筋を収縮させない(弛緩させる)命令が出されるというような、互いに拮抗しあう筋の活動を抑制するメカニズムのことを相反性神経支配と呼びます。

つまり、ヨガで求められることが多い「ある筋肉を弛緩させる」ことは、拮抗筋を収縮させることで叶うということです。

では、リラックス効果を高めるために弛緩させるべき筋肉には、どんなものがあるでしょうか?

■リラックス効果の鍵を握る僧帽筋

リラックスした状態へ導くためにはもちろん、吸えるポジションと吐けるポジションを交互に配置した呼吸を深めるシークエンス、そして理想的なカーブを描く心拍数の推移が必要です。

さらに副交感神経を優位にし、深いリラクゼーションを叶えるためには肩首の緊張を弛緩させることがとても重要です。

そのためにアプローチするべき筋肉は僧帽筋です。

僧帽筋は人間の背中の一番表層にある筋肉であり、スマホ首に代表される頸椎の角度の固定や精神的な緊張から無意識に硬直しやすく、結果として肩こりなどの肉体的な不調だけでなく、交感神経を刺激し精神面でもリラックスしにくくなるという不調につながります。

相反性神経支配の観点からいうと、僧帽筋を効果的に確実に緩めるためには拮抗筋を収縮させればいいということですが、僧帽筋の拮抗筋はどこかわかりますか?

肩甲骨を寄せる動きを担う僧帽筋の拮抗筋は、広背筋と全鋸筋です。

つまり、僧帽筋を緩め効果的に肩首回りをリラックスさせるためには、広背筋を収縮させれば良いということになります。

では、アーサナをうまく配置し、シークエンスでアプローチするためにはどんな方法があるでしょうか?

相反性神経支配でリラックス効果を引き出す

本格的なシャバーサナに入る前に、合蹠の前屈のような背面を緩めるアーサナを取ることは多いのではないでしょうか。前屈位で僧帽筋が緩みリラックス効果の高いアーサナではありますが、いきなりこのアーサナを取ったからといって効果的に脱力できるわけではありません。

こういったアーサナに入る前に、広背筋や背筋群を収縮させることでより効果を高めることができます。

広背筋はその名の通り背面の大きな筋肉です。広背筋を使うアーサナは色々ありますが、例えばテーブルポーズなども背筋群を鍛える代表的なアーサナです。

■広背筋を効果的に収縮させるテーブルポーズは指先の向きがポイント

図のように、テーブルポーズの後に合蹠の前屈を配置するのは、僧帽筋を効果的に緩めるシークエンスですが、広背筋を収縮させる効果を高めるためにテーブルポーズをとる場合、重要なポイントがあります。

それは、指先を前に向けて行うことです。

テーブルポーズやプールボッターナーサナは指先を後ろにむけて行うのも間違いではありませんが、後ろに向けて行うとより菱形筋に収縮がかかります。

菱形筋を収縮させることも背中の緊張緩和へとつなげることができますが、僧帽筋を弛緩させる目的の場合はより大きな筋肉である広背筋を狙う方が効果的であると言えるでしょう。

また、さらに心拍を下げていく過程でハラーサナ→ボルスターを使い胸を開くリラクゼーションポーズ→合蹠の前屈、という流れも理想的ですよね。

■拮抗筋を意識し、心身への効果を高めよう

シークエンスを構築する際、拮抗筋を理解しておくことでヨガの心身への効果を確実に高めていくことができます。

自分の主観ではなく、共通した体の仕組みを知ることが、客観的な視点ですぐれたクラスを提供するために必要となります。

ヨガインストラクターとしての確かなレベルアップのためには、シークエンスの構築にこういった確かな知識を反映させていかなければならない時代が来ていますね。

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この講座はこんな方にオススメです。

・シークエンスの組み方を基本から学びたい

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