骨度法とは?人体の基本的なバランスを知る
皆さまこんにちは、ヨガインストラクターのよがくらげ雅子です。
「骨度法」という言葉を聞いたことはありますか?
骨度法とは、骨を基準とし、身体各所の長さを尺寸によって求める方法のことです。経穴を取穴する際にこの骨度法を元にするため、鍼灸療法では非常に重要な基準なのですが、ヨガのインストラクターにとってはそこまで馴染みのない言葉かもしれませんね。
しかし、受講生のアーサナの取り方や体のポジションを確認する上で、実は大いに利用価値の高い基準でもあります。
今回はその中でも背骨を旋回させる際に役立つ骨度法をご紹介していきましょう。
■基本的な人体の骨指標
人体の骨格や骨の数などは、厳密に言えば個人差は少しずつあるものの、基本的には共通しています。
例えば腸骨の1番高いところは腰椎の4番から5番の位置に当たります。
肩甲骨の上部は胸椎の3番の位置に当たります。
このように、基本的な骨格は個人差を考慮しても大きく変わることは無く、つまり人の体を見る上で重要な情報となります。
■脊柱のそれぞれが得意とする運動
そして、それぞれの骨が得意とする動きも共通しています。
ここでは復習も兼ねて頸椎、胸椎、腰椎それぞれが得意とする、脊柱の基本的な稼働範囲を確認してみましょう。
これらの図を見るとわかるように、脊柱は矢状面(前後)の動きが最も得意ということがわかります。頸椎、胸椎、腰椎を分けて考えても、それぞれが大きな角度で矢状面の動きを担うことができます。
これは、矢状面の動きが呼吸と最も密接であることに関係しています。脊柱の矢状面の運動は人間にとってはとても自然な動きであり、自律神経への関与も大きいということです。
前額面(側屈)、水平面(捻り)の動きはどうでしょうか。
前額面の動きを最も大きな角度で行えるのは胸椎ですね。
そして、水平面の動きは、実は腰椎はあまり得意でないということがわかります。
もちろん、それらを動かす筋肉や腱の柔軟性や関節の可動範囲は個人差が大きいですし、ヨガのアーサナの練習に取り組むことで稼働範囲自体は少しずつ広げていくことが可能ですよね。
ですが、どの部分がどんな動きを主に担っているか、ということは、ある程度理解しておく必要があるでしょう。
そして骨指標と、これら基本的な動きを理解しておくことで、受講生が正しくアーサナを取れているかを目視でより正確に確認していくことができます。
■捻りのアーサナは胸椎が重要
背骨を旋回させる捻りのアーサナはたくさんありますが、その際に最も深く旋回できるのは胸椎の7番から10番です。
つまり、捻りのアーサナを深めていくためにはこの部分をしっかり旋回させる必要があるのですが、ここが硬くなっていると最も微力で動かすことができる頸椎の旋回に頼ってしまったり、あるいは肩の動きで背骨の旋回を代償してしまうというミスアライメントにつながります。
では、どのように導いていけば良いか。
ここで骨度法が役立ちます。
■正しいツイストへ導きくために
最初の図を見てもわかるように、肩甲骨の下角は胸椎の7番や8番に当たります。
背骨の旋回を最も得意とする部分ですね。つまり、ここで肩甲骨の動き(腕の上げ下げ)により背骨の旋回を代償してしまわないように適切にナビゲーションする必要があります。
例えば、手を後頭部に添えた状態でまず胸の向きを横へ向けるようナビゲーションし、そこから腕を上げるという順序を踏むことで、正しく胸椎の旋回を引き出すことができます。
そういった正しい脊柱の動きを出すことでアーサナの基礎が確立します。腕を広げて呼吸を深めていくのは、その次の段階です。
まずはアーサナの意味を理解し、狙いを定め、出したい箇所の動きを導いていくとより正しく深めていくことができるのです。
※公式YOUTUBEチャンネルもご参考ください。
このように、人体の骨格のポジションや得意とする動きを正しく理解することで、ナビゲーションもより適切なものに変えていくことができます。
受講生がそれぞれのレベルに合った、正しいアーサナを取れるクラスを構築することは、自分の提供するレッスンを選択する人の幅が広がるということです。
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講座の詳細、オフィシャルラインはトップのリンクからどうぞ。過去「身体の力みをとるビンヤサシークエンス講座」を受講された方の受講方法なども詳細をご覧下さい。
芸術大学卒業後、デザインの仕事に就くが、消費サイクルの短いデザイン業に疑問を感じ、30年以上のヨガ愛好者である母の影響で続けていたヨガに更に本気で向おうと決意、ヨガインストラクターに転職する。現在は3人の子育てをしながら幅広い年齢層に多様なヨガを指導。