「未病」って何?病気を防ぐためにヨガできること
皆さまこんにちは!ヨガインストラクターのよがくらげ雅子です。
医療技術とともに高齢化社会が進む昨今、自分の体で歩き、自分で食事を取り生活できる健康寿命をいかに伸ばしていくか、ということに多くの人の関心が集まりつつあります。
健康寿命を伸ばすためには「病気を防ぐ」という段階でいかに心身を良い状態にキープできるか、ということが非常に重要になります。
なぜなら、どんな病気でもなってしまってから治療をするのは心身に少なからず負担がかかるものですが、病気になる前の段階での健康維持は生活の質=QOLを上げる上でも非常に大きな意味を持つからです。
ヨガ的な体の捉え方は東洋医学と近く、体の各器官、そしてその働きに大きく影響する精神を含めた全身を一つの「環境」と考えます。そのため、環境全体を健やかに維持するために血液の巡りを重要視しています。アーサナを行い呼吸を深めることは、精神的なリラックスだけで無く、血液循環を促すという大きな目的もあるんです。
■血液循環の2つのルートを理解する
私たちの全身に酸素を届ける血液循環、そのルートは2つあります。
●体循環
1つは、心臓の左心室から大動脈に流れた血液が、中動脈→小動脈→細動脈→微細動脈→毛細血管の順に全身を巡り、微細静脈→細静脈→小静脈→中静脈→上大静脈・下大静脈へと合流を繰り返しながら右心房に戻ってくる「体循環」です。
体循環で血液がからだを一周する時間は、約20秒といわれています。このわずかな時間で、血液は左心室から全身を巡りながら必要な部位に酸素を届け、不要な二酸化炭素を回収し右心房に戻ってきます。
●肺循環
2つ目は、右心房→右心室→肺動脈を経由して肺に入り、肺静脈を通って左心房に戻ってくる「肺循環」です。肺循環では右心房を出発してからなんと3~4秒という短い時間で、血液が心臓に戻ってきます。
肺循環では体循環のルートを通って心臓に戻ってきた血液から、二酸化炭素や老廃物などを取り除いて、再び酸素をたっぷり含んだ新鮮な血液に再生するため、肺のなかで濾過を行ったのち、心臓へと戻します。
肺循環を終えた血液は左心房、左心室を経由して大動脈から再び体循環のルートへと進みます。
血液は、常に体循環、肺循環を交互に繰り返して体内を循環しているのです。
■ストレスホルモン「コルチゾール」
また、過度な精神的ストレスをうまく解消することも、全身の健康維持には欠かせません。昨今、ストレスと関わりの深いホルモン、コルチゾールが体に与える影響についても注目されています。
ストレス負荷を受けると交感神経系と視床下部、下垂体、副腎皮質系が活性化されますが、その工程の最終代謝産物として生産されるのがコルチゾールです。
コルチゾールはそれ自体が悪者というわけでは無く、元気を出して活動的なスイッチを入れる役割にも関与しています。
しかし、過度なストレスにより血中コルチゾール値が高くなると、心身に様々な悪影響が出てしまいます。
血圧や血糖値を引き上げ、うつ病や睡眠障害、記憶障害を高める原因になること。そして特筆すべきは免疫力を低下させること。
その理由には、コルチゾールがもたらすNK細胞への影響があります。
●NK細胞(ナチュラルキラー細胞)
私たちの体には、生まれつき体に備わっている自然免疫と呼ばれる仕組みがあります。その1つが、NK細胞です。
NK細胞は白血球の一種で、体内に異常がないか常にパトロールしていて、細菌やウイルスなどの病原菌やがん細胞を発見するとそれらを選択的に攻撃し排除します。
コルチゾールはこのNK細胞の活動も抑制するので、様々なウィルスや最近への抵抗力を弱めるだけで無く、癌細胞を発生させやすくなってしまうのです。
■ヨガを取り入れ、未病を防ぐ
私たちの体は、心と体両方がバランスをとりながら、自律神経の指令のもとに各器官がしかるべき働きをしています。その当たり前にも感じる仕組みは実は非常に精巧で、様々なストレスに晒されることでバランスを崩してしまい、そこから病魔を引き寄せてしまいます。
心身を健やかに保つためには、まずは呼吸を深め自律神経を整えること、そして血液循環を正常に保つこと、過度なコルチゾールの生産を抑制し、精神的にもリラックスした状態で過ごすこと。
これらは全て、ヨガの得意分野でもあります。
医療の発展とともに寿命が伸び、高齢化社会が進んでいく現代において、ヨガで未病を防ぐことはあらゆる人の健康維持にとって有益な手段となっていくでしょう。
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芸術大学卒業後、デザインの仕事に就くが、消費サイクルの短いデザイン業に疑問を感じ、30年以上のヨガ愛好者である母の影響で続けていたヨガに更に本気で向おうと決意、ヨガインストラクターに転職する。現在は3人の子育てをしながら幅広い年齢層に多様なヨガを指導。