椎間板ヘルニアはなぜ首と腰に多いの?
皆さまこんにちは、ヨガインストラクターのよがくらげ雅子です。
以前にもこちらの記事で取り上げましたが、アーサナの大きな目的の一つは「脊柱を動かす」ことです。
なぜなら、背骨の動きは自律神経との関わりが深くメンタルへの影響も大きい運動であること、そして解剖学的に見ても脊柱の動きを滑らかに整えておくことは正常な身体機能を保つ上でとても重要だからです。
ですが、脊柱に異常が起こることで現れる不調は多く、椎間板ヘルニアなどはその代表的な例ですよね。
今回は脊柱の構造と椎間板ヘルニアが起こる仕組みを学びながら、脊柱をバランスよく動かすことの重要性を探っていきましょう。
■押さえておきたい脊柱の基本構造
脊椎は、椎骨(ついこつ)という骨が積み木のように重なることで構成されています。頭部から臀部(でんぶ)に向かって順番に、「頚椎(けいつい)」「胸椎(きょうつい)」「腰椎(ようつい)」「仙骨(せんこつ)」「尾骨(びこつ)」という名前がついています。
腰椎は普通軽く前にそるようにカーブしています。 これを腰椎の前弯(ぜんわん)と言います。反対に胸椎は少し後弯のカーブを描き、頸椎はまた少し前弯しています。
腰椎の過前弯は俗にいう反り腰と呼ばれ腰に負担がかかりやすい状態ですが、理想的な自然なS字カーブはそもそも腰椎自体は前弯しています。
脊髄は外側から、丈夫な硬膜(こうまく)、薄くて半透明なくも膜、そして軟膜と呼ばれる3層の膜で包まれています。くも膜の内側は、脳脊髄液で満たされています。
椎骨と椎骨の間には、「椎間板」(ついかんばん)と「椎間関節」(ついかんかんせつ)という2種類の関節があります。椎間板は衝撃を和らげる役割を果たしており、加わる力の約80%を支えていると考えられています。
椎間板には、「髄核」(ずいかく)と呼ばれる柔らかいゲル状の組織と、「線維輪」(せんいりん)と呼ばれる強固な線維状の組織が挟まれています。これがクッションの働きをして衝撃を吸収しています。
線維輪がほころびて、中の髄核が飛び出してきたものが「椎間板ヘルニア」です。
そしてこの椎間板ヘルニアは、元々が前弯している頸椎と腰椎の中でもさらに負担がかかりやすい箇所である
・頸椎の5番と6番の間、6番と7番の間
・腰椎の4番と5番の間
が最も多くなります。
●脊柱の働き
脊椎には、大きく四つのはたらきがあります。
- 体を支える柱としての役割。
- 体を動かす機能。
- 肋骨と組み合わさって内臓を守る。
- 脊髄などの重要な神経を保護する。
脊椎はトンネルのような構造をしていて、この中を中枢神経である硬膜管というチューブ状のものが通り、その中に脊髄と馬尾(ばび)が通っています。この脊髄から末梢神経が分かれて全身に分布しています。
■脊柱の複雑な動きを実現する3つの要素
椎骨はそれだけではぐらぐらで、私たちは身体を支えることができません。靱帯(じんたい)と呼ばれる結合組織によって椎体どうしが互いに連結されることで、その機能を維持することができています。
●Functional special unit (FSU)
隣接する2個の椎骨とそれらを連結する椎間板、椎間関節、靭帯は脊柱運動の基本単位であり、Functional special unit (FSU)と呼ばれます。
椎間板と両側の椎間関節は併せてthree joint complexとよばれ、互いに連結することで椎間可動域を獲得しています。
これは構成要素のひとつが機能不全を起こすと、残りの全ての構成要素に影響し機能不全が生じるという概念であり、脊柱変形に伴う症状のメカニズムを説明する上で欠かせない考え方です。
■脊柱を動かすことの重要性
以上のように、脊柱はそれぞれの椎骨とそれらを連結する椎間板、椎間関節、靭帯それぞれが正常に働くことで負担なく複雑な動きを可能にしています。
アーサナで脊柱を様々に動かすことは、これらの運動機能を正常に保つ上で非常に有効です。
アーサナでは日常生活では行わないような体勢や日常的に動かす範囲を超えるようなものが多いですが、それらが体にとって負担ではなく、可動範囲を広げる有益なものにするためには、負担のかかった箇所を緩めるようなカウンターポーズをうまく取り入れたり、呼吸とともに無理なく深めていくことがとても重要です。
インストラクターは受講生にとってアーサナが有益に作用するように、身体構造を理解した上で誘導する技術が、必要ですね。
この講座はこんな方にオススメです。
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芸術大学卒業後、デザインの仕事に就くが、消費サイクルの短いデザイン業に疑問を感じ、30年以上のヨガ愛好者である母の影響で続けていたヨガに更に本気で向おうと決意、ヨガインストラクターに転職する。現在は3人の子育てをしながら幅広い年齢層に多様なヨガを指導。