吸うとは、吐くとは、どんなこと?上質なシークエンスのために必要な知識!
こんにちは、ヨガインストラクターのよがくらげ雅子です。
アシュタンガヨガが日本で広まってから、アーサナをつないでいくヴィンヤサスタイルのヨガが主流になりました。YOUTUBEやSNSライブでも無料のヨガが溢れている現代、なんとなくそれっぽいクラスを組み立てることは誰にとっても難しいことではなくなりました。
ヨガのインストラクターとして活動を始める時も資格はすぐに取得することができるので、その中で本当に効果のあるヨガを伝えられているかどうかが、インストラクターとしての信頼度や収入にもダイレクトに関わってきます。
ヴィンヤサヨガのシークエンスで大切なのは呼吸
ヨガにとって呼吸は基本中の基本。ポーズ以上に重視すべきものです。深くゆったりとした呼吸法をおこないながらポーズをとることで、ポーズの効果をしっかりと得ることができます。
もし自分のレッスン中に生徒さんの呼吸が苦しそうであったり、アーサナが快適に取れていなさそうな場合、その原因がシークエンスにあるかもしれません。まずはシークエンスを組み立てる段階で、深い呼吸を誘導できるように工夫しておくと、生徒さんも呼吸にあわせたポーズを実践しやすくなります。
では具体的に、シークエンスを考える上で呼吸をどう考えていけば良いのでしょうか?
同じポーズでも体の使い方で効果が変わる
たとえばタダアサナ(山のポーズ)は立位の基本であり、まっすぐに立っているポーズですよね。このポーズで深く息を吸いながら自分の体を観察してみてください。次に息を吐きながら自分の体を観察します。
吸う時には胸がひろがり、吐くときには肩が少し前に入っていませんか?
今度は、意識的に両肩を後ろにして胸を広げながら深く息を吸い、意識的に肩を内側に丸め込むようにして息を吐きます。先程よりも深い呼吸ができましたよね?
では逆に、今度は意識して肩を内側に丸め込みながら息を深く吸って、次に両肩を後ろにして胸を広げながら息を吐きます。なんだか変なふうに力が入って非常にやりにくくなかったですか?
その理由について説明します。
吸う息の特徴
吸う呼吸の時には、胸が開きます。肺に酸素が送り込まれるので、胸が開いた、どちらかといえば背骨を反らせた体勢の方が深く息を取り込むことができます。
吸う呼吸は自律神経の交感神経を優位にします。交感神経は、心拍数や筋緊張を上昇させるものです。
胸が開いたポーズ=吸う呼吸をしやすい、と言うことです。
吐く息の特徴
対する吐く呼吸の時には、胸が閉じます。肺に溜まっていた酸素を送り出すので、胸が閉じ背中が丸まっていくと吐き出しやすくなります。
吐く呼吸は 自立神経の副交感神経を優位にします。副交感神経は、心拍数や筋緊張を低下させるものです。
背中が丸まったポーズ=吐く呼吸をしやすい、と言うことです。
また、腹部に圧がかかる捻りのアーサナなども吐く呼吸をしやすいアーサナと言えます。
ヴィンヤサヨガは吸う・吐くの繰り返し
アシュタンガヨガやヴィンヤサヨガを代表とするフロースタイルのヨガは、吸う・吐くの呼吸が順番にきています。この呼吸にあわせてポーズがおこなわれるのが特徴です。
もしあなたがレッスンで、胸が広がるポーズを連続して取り入れていると、それは「吸う吸う吸う」となり、吐くタイミングがつかめずに非常に苦しいシークエンスになってしまいます。
シークエンスを組み立てる時は「吸う・吐く」の順番を意識したポーズの流れを考えましょう。特に初心者向けレッスンの場合は、ポーズに夢中になって呼吸が止まってしまう、息を吸うときと吐くときのタイミングがわからなくなる、ということもあります。
シークエンスを考えるうえで、ポーズとポーズの間で息を吸う・吐くが順番に来ているか、流れを確認しましょう。これは頭で考えるのではなく、必ずヨガマットの上で実践しながら考えましょう。
自分で実践しながら考えると「ここはもっとゆっくり時間をかけて次のポーズまでもっていこう」「このポーズは息を吐きながら終わるから、次のポーズは息を吸いながら始めるこのポーズにしよう」と構成できるようになります。
インストラクションでも変化する呼吸の優位性
呼吸を意識してシークエンスを組むことはとても大切ですが、実はもっと大切なのはポーズの誘導、インストラクションです。
例えばレッスンでバッダコナーサナ(合せきのポーズ)をおこなうとします。このときあなたは、ポーズをとる時になんとインストラクションしますか?
- A:坐骨で床を押し、背骨を伸ばして
- B:背中を丸めて力を抜きましょう
どちらが正解だと思いますか?
正解は、どちらもです。どちらのインストラクションをしてもOKです。
ただ効果は異なります。Aの場合、背筋を伸ばして吸う息を取り込みやすくしているので交感神経が優位に働くポーズです。一方Bの場合、背中が丸まり息を吐きやすくしているので副交換神経が優位に働くポーズです。
どちらのポーズを形をとっても正解です。ただ大切なのは、指導しているヨガインストラクターが何を目的に、何を意識してそのポーズをおこなっているのか、という点です。
吸う息、吐く息のどちらを優位にしたいと考えているのか、明確にした上でポーズを決めてシークエンスを作っていくようにしましょう。
呼吸を見える化してシークエンス作りにいかそう
Quiet timeでは、この呼吸を見える化してシークエンス作りを学ぶ、ヨガシークエンスデザイン講座を開催しています。
以下のように吸う息を赤、吐く息を青色で表示し、各ポーズではどちらの呼吸が優位になっているのかを説明しています。
このように呼吸が見える化されることで、自律神経に本当に効果的なシークエンスが組めているかが一目瞭然ですよね。吸いやすい、吐きやすいとは何なのか、吸う時吐く時、体では何が起こっているのかを様々な観点から学び、本当に必要とされるインストラクターとしてのスキルを身につけていきませんか?
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