脳は何で判断してる?アーサナの配置が導く深いリラックス
こんにちは、ヨガインストラクターのよがくらげ雅子です。
ヨガを通して「生徒さんにリラックスしてほしい」と考えるヨガインストラクターさんは多いですよね。でも、本当に深いリラックスを提供できていますか?
ただの体をあまり動かさない運動量の少ないクラス、眠くなってしまうような単調なクラスになっていませんか?リラックス効果を高めるために必要なのは、実はリラクゼーションのアーサナだけではありません。
この記事では、リラックス効果を高めるためのシークエンス作りのポイントについてご紹介します。
1.陽のポーズと陰のポーズの違い
ヨガのポーズは、『陽のポーズ』と『陰のポーズ』に大きく分けることができます。
陽のポーズ:
脊柱の伸展や背筋が伸びた状態で呼吸を取り込みやすいポジションにあるポーズ。手を上げて胸を開いたポーズやバックベンド、または床から離れる動きや重力に逆らう動きも背筋優位の陽のポーズ。
吸う息が優位になるため、交感神経を刺激しアクティブになりやすい。
陰のポーズ:
脊柱の屈曲や肩が内側に入り呼吸を吐きやすいポジションにあるポーズ。手を前方に下げて胸を閉じたポーズや前屈、または重力に体を委ねる動きも陰のポーズ。
吐く息が優位になるため、副交感神経を刺激しリラックス効果を得やすい。
では、この陽のポーズと陰のポーズの考え方を用いて、リラックス効果を高めるためのシークエンスを作るには何を基準に考えたら良いのでしょうか?
■「相対的」は自律神経のキーワード
深いリラックスのためにはいうまでもなく、自律神経に確実に働きかけることが必要です。
吐く息は副交感神経を優位にしてくれるため、リラックス効果を感じてもらいたい時には、吐く息が優位になる陰のポーズをレッスンで多めに取り入れる方も多いのではないでしょうか?
ですが、ここで忘れてはならないのが自律神経の仕組みです。脳は体の状態を判断する時、今の状態がその前の状態と比べて相対的にどうなっているか、をその大きな判断材料にします。つまり、深いリラクゼーションを感じるにはその前の状態と比較して、より体が緩んでいる必要があるのです。
図はどちらもリラクゼーションのフェーズでよく使われるアーサナですが、実は左のアーサナは右のアーサナと比較して心拍が上がりやすいという特徴があります。脱力している=リラックス、とは言い切れないのです。
2.吸う息が優位な陽のポーズもリラックスには必要
副交感神経を優位にするには、リラクゼーションのフェーズであっても、陰のアーサナの連続よりも、陽のアーサナから陰のアーサナへ移行する配置を作ることが重要です。
そういったシークエンスで、脳は相対的にリラックスした、と感じることができるのです。
実際に、陽のポーズと陰のポーズとを順番におこなうことで以下のような心拍数の変化が出ています。
より質の高いリラックス効果を導くためにも、陰のポーズだけをおこなうよりも、以下の順番を繰り返し、最後に陰のポーズを持ってきて終わらせるようにシークエンスを組みましょう。
- 1.息を吸い込みやすい背筋を伸ばした陽のポーズ
- 2.息を吐きやすい背骨を曲げた陰のポーズ
ポーズを選ぶときにも「これは陽のポーズ?陰のポーズ?吸う息、吐く息のどちらが優位になるか?」「どうすれば吐く息を優位にできるか?」という視点で見ていく癖をつけるとシークエンス作りが楽しくなりますよ。
芸術大学卒業後、デザインの仕事に就くが、消費サイクルの短いデザイン業に疑問を感じ、30年以上のヨガ愛好者である母の影響で続けていたヨガに更に本気で向おうと決意、ヨガインストラクターに転職する。現在は3人の子育てをしながら幅広い年齢層に多様なヨガを指導。